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2008年1月15日 (火)

サヴァン

『サヴァン症候群』…映画『レインマン』のモデルとなった男性=キム・ピーク氏の例が有名のようです。映画ではダスティン・ホフマンが演じられたようですが、私は見ていないので、映画の内容はわかりません。
私は、数年前出張先のホテルで、たまたまこのキム・ピーク氏を取り上げた番組を見て、この“サヴァン”という言葉=疾病名(と映画のこと)を知りました。

キム・ピーク氏の飛び抜けた能力…とは、その『記憶力』です。友人達は彼のことを『キムピューター』と呼ぶくらい。彼はインターネットの検索エンジン並の速さで頭の中の情報を引き出せるというのです。
キム・ピーク氏の記憶は、世界史や米国史、スポーツ、映画、地理、宇宙計画、俳優、聖書、教会史、文学、シェークスピア、クラシック音楽など、15以上の分野に及び、全米の市外局番や郵便番号、各地のローカルテレビ局もすべて記憶。電話帳に載っている地図を暗記していて、米国の主要都市の道路や都市間の移動について、検索エンジンのように案内できるということでした(別冊「日経サイエンス」脳から見た心の世界part2:p.122-127)。

テレビでは他に数人の事例の紹介もありましたが、やはり記憶力が良い人(特定の日の曜日を言える=カレンダー計算)、小さい時から絵を描くのが好きで毎日毎日絵を描いている人、それもとても上手に…などが出てきました(音楽や芸術、数学といった特定の分野で飛び抜けた記憶力を持つそうです)。
でも、キム・ピーク氏は50歳後半、お父さんが70歳代くらいだったと思いますが、日常生活で健常の人が行う着替えや、歯磨き、ヒゲ剃りなどが自分ではできないというのです。そのお父さんが全てを手伝う、してあげているという放送の内容もありました。でも、お父さんは「息子のことを誇りに思う」というようなこともおっしゃっていました。

彼の脳を解析してみると、最も著しい特徴は脳の左右の半球をつないでいる脳梁が完全に欠損、また、前交連と後交連も欠損、ある種の運動機能に関連している小脳も普通より小さく形態的に異常があるということでした(運動障害や協調運動障害の原因?)。ただ、そのあたりのことが、彼の特殊な能力にどのように影響しているのかは不明で、脳障害がきっかけとなって脳の他の部分が代わりに発達したのか、それとも脳障害によって隠れていた能力が表に出るようになっただけなのかはわかっていない…ということでした。

よく、自閉症の人にも特別な能力があるようなことを言われます。実際、サヴァン症候群は他の障害と比べて自閉症との関連が強いそうです(でも、サヴァン患者のうち自閉症は半数程度にすぎない…とも…。それと狭義の意味では、サヴァン症候群は極めて少なく、全世界で数十名程度しかいないということです)。

これまで著名な業績をあげてこられた歴史上有名な方々や、現在、いろんな分野で成功を修めている方々の中でも、実はあの人は自閉症やアスペルガー症候群であるということが言われています(参考:「みんなとはちがった人たち 自閉症の英雄のこと」)。
確かに、そういう人達は実際、自閉症やアスペルガー症候群の特徴をお持ちなのかもしれません。そして、それらの特徴と言われる こだわり や 独特の思考・興味、特技などを持っていて、そういうふうに成功を修めたのかもしれません。

しかし、自閉症等の人が全て、そういう能力を持ち合わせ、全ての人が成功するわけではないのです。
また、例え、その能力があったとしても、その能力の差だって、人それぞれ…、健常の人の中でも、能力のある人とない人、その間の中途半端な能力の人々(言い方に語弊あり?)がいるように、自閉症等の人の中でも能力の差があると思うのです。

…で、うちのTO君の話…、確かにそういう(広義のサヴァン的)特徴と言えるようなことをお持ちになっているようなところもなきにしもあらず…ですが…、

確かに『カメラアイ』的な視覚能力をお持ちです
でも、それは大好きなキャラクター類=ケロロ軍曹、ポケモン、ガンダム、もしくは嫌いなキャラクター類=スパイダーマン、ハウルの城…etc.にのみ、その能力を発揮します。
私達夫婦やKO君は全く気がつかない、ただちょっと通り過ぎただけの旅行代理店の前で、「なぜ、そこにスパイダーマン(ポスター)がいることを気付く?」、ちょっとコブクロのCDを探しに寄ったCDショップで、「なぜそんな遠くからアスラン・ザラの描かれたDVDがあることに気付く?」ということなど多々あります。

確かに言語性有意で、聴いた言葉、セリフを覚えていたりします。
でも、それは大好きなアニメ等のセリフを覚えているだけ…、私達の指示に関しては、例えば3つの語彙で指示した場合は、最初と最後は覚えていても真ん中が抜けていたりします。何かに夢中な時は、名前を呼んでも返事もしません。
そのくせ、私達が話ししていることのちょっとした会話の中に、自分が興味のある言葉が出てくると、今まで別のことをしていたにもかかわらず、その言葉に食らいついてきて、「何々?」としつこく聞いてきます。全く持って本当にいい『都合耳』です。

確かにお絵描きも大好きですけど、そんなサヴァン的特徴を有するほど上手なわけでもない…ような気がします。

うぅ~ん、何とも中途半端な特徴(能力)をお持ちのTO君です。何かとんでもない(広義のサヴァン的)才能をお持ちのお子様とは、どんな親の欲目感情を精一杯出しても感じらません。

サヴァン的な能力も持ち合わせてはいない。はたまた、自閉的傾向も、最近ではTO君自身が安定さえしていれば、あまり目立たなくもなりました。

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いろいろなこだわり等も薄れ、ちょっとした言葉掛けで気持ちを切り替えられたり、TO君自身でも自らの言葉で切り替えられるようになってきています。また、スケジュールさえ提示してやれば、何とか気持ちを落ち着かせていろんな行事にも参加できるようになっています。
もちろん、そういうふうにこちらが対応していることが、安定につながっているのだとは思います。ただ、やはり、時に出る自閉的傾向は「やっぱりあなたはそうなのですね。」って感じです。以前、診断していただいた医師から、「軽度ですけど、(自閉的傾向が)出たら“深い”ですね。」という名言(私達はそう言っている)をいただきました(本当にそのとおりだと思います。さすが医者だと思いました。そう『軽度』は決して『軽く』はないんです)。
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TO君は、何とも中途半端な(広義のサヴァン的?)能力と自閉傾向(特徴)を併せ持っています。
広汎性発達障害という自閉症のお仲間の診断は受けましたが、障害者手帳はありません。そして、とんでもないサヴァン的な能力も多分持っていません。
そして、多分、いつか、普通の大人として社会の中で生きていかなければならなくなるのだろうと思います。

サヴァン的能力があろうがなかろうが、自閉傾向が強かろうがそうでなかろうが、私達の愛しい息子に違いありません。
もちろんですが、サヴァン的能力があるとかないとかよりも、TO君が一人でも基本的な日常生活や社会生活が送れるよう、また、正しく人との関わり方ができるようになるよう、TO君を育てて(支援、支えて)いけたらいいなぁと思っています。
そして、好きなこと、やりたいこと、得意なことの能力は、TO君自身の自信になるように応援してあげようと思います。

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コメント

6歳と4歳の男の子のママです。お兄ちゃんのほうはグレーゾーンのあたりにいるらしく,療育に通っています。
たけ父さんの
"そして、多分、いつか、普通の大人として社会の中で生きていかなければならなくなるのだろうと思います。"・・・・・という言葉,うちのお兄ちゃんが通っている療育の先生もよく言われます。大人になって定型発達の人たちと同じ社会で生きていく・・・・・。大人になったら親は子供についてまわれない,だから小さいうちに関わってできるだけ社会の中で上手く過ごしていけるように,ストレスをできるだけ少なくする方法を本人に教えていってあげたい・・・と思います。得意なことと苦手なこと,ありのままの自分を出すことはとても過ごしやすいことだなと思います。子供の発達障害がわかるまで,私自身,完璧な親完璧な大人を目指し,それに及ばない自分に自信をなくしたりしていました。できないこと,苦手なことは子供にも見せていいんだなと考え方を変えてからは,気が楽になったし,どうしたらそれをカバーしていけるか工夫することを子供に見せていくと子供から教えられることもあり,私自身も自分に自信が出てきました。
子供も,苦手なことはどうやって工夫すればうまくいくんだという方法を知っていると自己評価を下げずに過ごしていけるのかな,と思いました。得意なことは自分の自信にしていく・・・。ほんとにそうですね。
TO君も,お父さんお母さんが,一生懸命生きている姿を見て,大きくなっていくにつれて自分らしく生きていくことができるのではないかなと思いました。
たけ父さんの家庭はとっても温かく,いいご夫婦だなとおもいます。(なぎさんのHPにもおじゃましました!)これからもブログにおじゃまさせて下さいね。

投稿: K | 2008年3月 3日 (月) 08時18分

> K 様

はじめまして。コメントありがとうございます。
「子育て」は「親育て」って言うのでしょうか。私も子育てしてるといいつつ、子供達に親にしてもらっていることに気付かされます。
そして、TO君の障害のことを知って、勉強して、自分の子育て感の間違いに気付かされました。また、自分の気質にも気付かされました。その点では、いろいろ学ぶことはあったなぁと思います。←だからと言って、TO君に障害があって良かったと言っているわけではないのですが…。
K様が言われるように、親自身も、そして子供も自信を持てるような「育ち」をするのが大切なのだと、最近よく思います。
これからも、妻ともどもよろしくお願いします。

投稿: たけpon | 2008年3月 4日 (火) 01時23分

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