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2008年3月18日 (火)

復命書

 「特別支援教育セミナー」に参加したので報告します。

○ 「発達障害」という障害をご存じですか?
⇒「発達障害者支援法(H17.4施行)」では、「自閉症」「高機能自閉症」「アスペルガー症候群」「その他の広汎性発達障害」「学習障害(LD)」「注意欠陥多動性障害(AD/HD)」「その他これに類する脳機能の障害」と定義されています。
⇒先天性もしくは生まれた直後の何らかの理由による脳や中枢神経系の器質的な障害です。「病気」ではないので完治することはありません。
⇒生まれつきの障害で、育て方や環境などが原因ではありません。以前から「母親の愛情不足」という誤った認識がありますが、そんなことは決してありません。また、「愛情かけて育てさえすれば治る」というものでもありません。
⇒見かけだけではわかりません。行動や生活場面に現れます。

○ 発達障害を持った人がどのくらいの割合でいると思いますか?
⇒統計調査や専門家の間でも数値が異なります。少なくとも 100人に1人はいるという調査結果もありますが、最近、調査・研究が進むにつれて約7%とも、それ以上1割~2割いると言う専門家の方もいます。そして、そのうち7割は知的障害を伴わないという調査結果もあります。
⇒診断には専門性が必要です。ただし、専門とする医師の数が少ないのが現状です。これまで、この障害を持ちながら、学校や一般社会の中で、悩み苦しみながら生活されてきた方も多くいるようです。
⇒ある専門家は、大学教授や公務員、警察官、自衛官にも、とても高い割合でいると言っています(っていうか、とにかく、身近にいるってことですね)。
⇒また、過去の偉人や現存する有名人にも多くいると言っています。ただし、誤解のないように…、この障害を持っている人の多くが、ある分野において高い能力を有しているというわけではありません。

○ 「自閉症」と聞いて、どのような症状の人を思い浮かべますか?
⇒「自分の殻に閉じこもって、他者とコミュニケーションをと(ら・れ)ない人」…もしこういう方が自閉症と診断された場合、このタイプは古典的自閉症(カナー症候群、1943、アメリカ)に入るかもしれません。しかし、自閉症には社会性から見て、「孤立型」「受け身型」「積極・奇異型」があり、特に「積極・奇異型」は積極的に他者と関わろうとするので、いわゆる“自閉的”には見えません。

○ 「自閉症スペクトラム」という言葉をご存じですか?
⇒「発達障害」のうち、「自閉症」「高機能自閉症」「アスペルガー症候群」「その他の広汎性発達障害」を含めて「自閉症スペクトラム」と言います。「虹」は赤から紫まで光のスペクトルが並んだものですが、その色の間はくっきりと区別できるものではありません。上記の障害(名)自体も、そのような連続性を示すという意味でウイング(2000、イギリス)が提案したものです。また、「青空」、つまり、この障害を持たない人達=「メインストリーム(主流派)」=「定型発達」=「健常者」との間もはっきりはしません。つまり、「あなたは△△障害で、私は違う」とは言い切れないかもしれないということです。その差は、「ある方は「自閉症スペクトラムの特性」がやや(かなり)強く現れる=支援が必要」か、「私はこの特性がそんなに強く現れない=何とか乗り切れている」くらいのものと言えます。
⇒ちなみに、「高機能」というと、社会適応が高いことを意味したり、知能も高いような印象を受けますが、単に知能検査で測定される知能に明かな遅れがない(IQ=70以上)ということを意味しているだけです。
⇒また、「アスペルガー症候群」は、アスペルガー(1944、オーストリア)が報告し、ウイング(1981)によって再整理されたものです。「自閉症」同様、次の「自閉症スペクトラムの特性」がありますが、それらの特性が非典型的な現れ方をし、多くは結果として知的障害を伴わず、どちらかと言うと言語能力も高いとされ、「一見、自閉症にみえない自閉症」とも言われます。

○ 「自閉症スペクトラム」の特性とは?
⇒「3つ組(みつぐみ)」の障害と呼ばれます。
⇒①社会性の障害(人と相互的にかかわって場にふさわしい行動をとる能力の不全)、②コミュニケーションの質的障害(相手との相互的コミュニケーションを楽しみ発展させていく能力の不全)、③イマジネーション(想像力)の障害(思考と行動の柔軟性の発達不全)…この3つがセットで認められれば自閉症と診断されます。ただし、人によって、その3つ組の特性の現れ方に違いがあります。
⇒その他にも、「視覚優位」「シングルフォーカス」「感覚過敏」「短期記憶が苦手」「フラッシュバック」等の障害特性を有する場合があります。
⇒これらの障害特性が絡み合い、特性の現れ方は一人一人異なります。同じ方でも、現れ方に(年齢や体調・状態によって)変化が見られます。
⇒また、幼児期から年齢を重ねる間に、他者から適正な対応(支援)を受けられないでいると、「二次障害(重ね着症候群)」を伴うことがあります。「パニック」「多動行動」「自傷行為」「他害行為」「強迫観念行動」「うつ」「各種の行動傷害(問題行動)」…etc. これらは全て「二次障害」であり、これらが真の問題ではありません。これらは「氷山の一角」、真の問題はその水面下に存在します。
⇒「二次障害」を伴わないためにも、早期発見が必要です(3歳児健診時…では遅いとされ、最近では1歳半健診で見つけようという動きのある県もあります。当然、5歳(就学前)では遅いです)。そして早期「療育」が必要です。更に、適正な支援が必要です(「特別扱い」ではありません→「特別な支援」=「子供一人一人にあった適正な支援」です)。「支援」は「愛情」や「同情」だけではありません→「特性への理解」と「適正に対応する技術」が必要です。
⇒「発達障害」を持った方の「困り感」への理解をお願いします。
⇒足の不自由な人に「松葉杖や車椅子を使わずに走れ!」と言いますか? 視力が低下した人に「眼鏡を外して夜道で車を運転しろ!」と言いますか?

○ 「インクルーシブ教育」という言葉を聞いたことがありますか?
⇒日本は、この分野=「発達障害」においての教育理念・体制が立ち後れています。また、一般社会においても理解が遅れています。北欧諸国等では、『インクルーシブ教育』という概念があって、障害があろうがなかろうが、すべての子供は住み慣れた地域の学校に通えるシステムになっているのだそうです。この考え方の前提には、障害のある子供も、できる限り教育環境を整備して、みんなと同じ学校で遊び、学ぶ権利があるのだという権利観に基づいている…ということです。また、障害のある子供だけでなく、移民や難民で移住してきた子供なども差別や選別をしてはいけない。むしろ通常の教育環境より手厚く教育を保障するのだそうです。
⇒残念ながら、日本はこれまで様々な事柄について、異質なものに対して、排他・隔離的な施策をとり続けてきました。それが「差別」等を生んでいる土壌だと言われています。また、「恥の概念」から、障害があることを隠したり、あることで「物言わぬ(えぬ)=権利を主張できない」ということもあるようです。
⇒ある専門家は、「特別支援教育の充実は、より良い社会人を多く輩出する。国と地域社会づくりの基盤である。」と言っています。

 今回のセミナーは、このような観点に立ち、今後、日本の学校教育現場において、学校を運営をする上で、この発達障害のための特別支援教育をどう理解し、対応していけば良いのかというものでした。
                              以 上

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