« 伝わる | トップページ | キバ »

2008年4月 1日 (火)

妻の無念

もう2ヶ月くらい前のことになりますが、支援センター主催のセミナーがありましたので参加しました。

講師は、「それいゆ相談センター」の服巻(はらまき)智子氏です。
私が時々視聴している「プロフェッショナル 仕事の流儀」にも出演されていましたし、この分野ではとても有名な方なので皆さんご存じのことでしょう。

会場までの公共交通機関で事故があり(服巻氏が乗っていたわけではありません)、講演開始時間が遅れるというハプニングもありました。
しかし、服巻氏は、講演冒頭からこのことについて、「こういう時に定型の方は何ともありません。私なんかは、この遅れをどうやって修復して、講演を行おうかとワクワクします。でも、発達障害をお持ちの方は、物事が予定どおり進まないと不安になったり、パニックになったりするのです。」と言って始められました。

講演内容について、詳細を blog に記載することはできませんが、私が日々感じている疑問、訴えたいことについて、全て語ってくれたような気がします。
やはり、専門家それも著名な方のお話なら説得力があります。

例えば…、
日本は国際的に、「発達障害」の分野で法的にも遅れていること。
そのために、行政的支援を受けられなかった人がいること。
生まれた国によって支援が違えば、この国に生まれて良かったと思えるか? etc.
↑2ヶ月も前のことなので、服巻氏がおっしゃったことと多少ニュアンスが違っているかもしれませんがご了承を…。

そして、「発達障害が大きく影響しているグループの人たち」として、次のような項目がレジュメに挙げられていました。

「幼児/児童虐待」
「不登校」
「切れやすい子どもたち」
「学習の不振」
「ひきこもり」
「反社会的行動」
「家庭内暴力」
「NEET」
「精神科疾患」
「二次障害」
「ごみ屋敷などご近所迷惑さんたち」

本当にそのとおりだと思います。そして、これらは、全て、「わけわからない」とか「とても理解できない」と言わんばかりに、マスコミで騒がれたり、おもしろおかしく報道されたり、とても無責任にコメンティナーや評論家の発言があったりするものばかりです(←これは私の意見です)。

服巻氏は、これら現代社会の問題に対して、「成人期にどういう大人でいてほしいか?」と訴えていたように思います。そして、犯罪に関しても「95%は健常な人が犯している。しかし、残り5%、発達障害を持った人が犯罪を犯した事例は、社会的にとてもセンセーショナルなものとなる。」とした上で、発達障害を持つ人を「大人が注意深く見守り」、「幼い頃より、発達障害対応で丁寧に育て」、「うまく育てさえすれば誰よりも立派な社会人になる」と語ってくださったように思います。
→だからこそ、今だけではない(もちろん今も大事だけど…)、学校生活だけが上手くいくような育て方をしてはいけないと私達は考えています。やはり、将来の最低限の目標は、「TO君を犯罪者にしたくない」のです。

「支援の基本」として、「本人側の論理を理解」した上で、「辛抱強く、ユーモアをもって、明るく暖かく」、「叱らないで、禁止を教える」 etc.
会場からの「感情のコントロールをどうしたらいいか?」という問いに、「本人の“感情のコントロール”を話す前に、支援者側の“感情のコントロール”ができていなければならない。決して声を荒げず、“声色のコントロール”をして臨まなければならない。」とおっしゃっていました。

レジュメの量はかなり多く、全てについてお話していただけたわけではありませんが、後で読んだだけでも、その一つ一つの項目に納得がいくものばかりです。
また、「ソーシャルストリー」や「対人関係指導」「進学」「就労」「性問題」などについて、実際の支援でも使っているし、参考になる書籍ということで紹介もあり、帰宅してさっそく注文させていただきました。
これは、宣伝にもなるので、ご紹介しておいてよいと思います。下記 url に紹介されていますし、購入も可能です。

〈ブックストア・フロム・ア・ヴィレッジ〉
 http://www.from-a-village.com/

私にとって、良い話しばかり聴けたセミナーだったのですが、座った場所がいけなかったと言えばそれまでですが、聞こえてしまったもの腹も立ちます。

講演の10分間の休憩時間のことです。私のすぐ後ろの席に座っていた男性陣の会話です。

「あ~ぁ、眠かった。」
「あの…ADSL とか ISDN ってのは何のこっちゃぁ?」(←これはネット回線の規格です。正しくはもちろん AD/HD です)。
「おまえ、ちゃんと聴いて、今日はここに泊まってでも、復命書、書いとけよ。」

こん野郎ども! ここに発達障害児を持つ親がいるってこと知らんやろがー!
そんなこと思っても、他人に聞こえるような声で言うな!
どこの関係者だ? 「復命書?」 もしかして公務員か? 人集めに動員させられただけかぁ?
…所詮、当事者でなければ、そんなものなのかもしれません。

…で、何故、タイトルが「妻の無念」なのか?
当初、妻もこのセミナーに参加する予定で申込みをしていました。
ところが、ちょうどこの日に、子供達が入学する小学校の入学説明会が開催され、妻は泣く泣く参加できなかったのです。妻は「とても悔しい、残念だ。」と言っていました。
もちろん、自分がこのセミナーに参加できなかったということもありますが、小学校がこの日に入学説明会をしたということは、TO君が入学する小学校の関係者は誰一人として、このセミナーに参加していないということなのです。

会場で地元自治体・教育委員会のH氏にお会いしました。
H氏はとても理解のある良い方です。どうしようか悩みましたが、でも、どうしても黙っておくことができなくて、このことを話しました。
H氏も「そうでしたか~。こちらも連絡不足で…。」と申し訳なさそうな感じだったです。
いや、妻も私も「仕方ない」とは思っているのです。小学校側も、おそらく、このセミナーの日程が決まる前に、すでに入学説明会の日程はいろんな事情で決まっていたのだと思います(そう思いたい)。
でもねぇ。他の小学校の先生方は来られていたようなんですよねぇ(H氏もそうおっしゃっていました)。
支援センターについてもですが、おそらく支援センターは障害福祉課のようなところが管轄のはずです。なぜ、もっと教育委員会の方と連携をとれないのか? 疑問を感じています。結局、やっぱり公務員のすることは縦割りなのだと思われても仕方がないのです。

まぁ、しかし、問題意識のかけらさえなく、ただ会場に嫌々ながら座っていただけ(と思われる、上記男性陣のような…)の人たちのように参加されても困ります。
これから、小学校の先生方とは、TO君のことを理解してもらえるよう、個別にお願いをしていかなければならないと思っています(そういう意味では、『ケース会』はとても良い機会だったと思っています)。
結局は、対象になる児童生徒がいて、その子の『困り感』を実感して、そして理解してもらわなければ、こういったセミナーに参加してもピンとこないのかもしれません。
小学校の先生方の意識を変えようとまでは考えていませんが、TO君を育てる親の“想い”は一生懸命伝えていけたらと思っています。

|

« 伝わる | トップページ | キバ »

コメント

はじめまして。

腹巻先生のセミナーですか。
いいですね。私も一生に一度でもいいから聞いてみたい。

知人で行ってきた方によると、聞いてよかった。
素晴らしい内容だったと。おっしゃってましたね。
たけ様のブログ内容を読んでなおそう感じられました。

セミナーですが、別に聞きたくないのだったら本当に、
来てほしくはないですよね。
その人の分、違う熱心な方がこられたら
どんなによかったでしょうか。

でも、悲しいことにどこのセミナーでもそういう方
いらっしゃるのですよね。
私も後ろで、ブツブツ文句言ったり、寝ている人とか
見たことがあります。。。

先生へ想い。伝わるといいですね!

投稿: | 2008年4月 1日 (火) 19時14分

はじめまして、コメントありがとうございます。
服巻先生ですね。良かったですよ~。やさしい物言いですけど、「スパッ」と厳しい(正しい)こと言いますね。
休みがあったら、「それいゆ」に研修に行きたいと思うくらい良かったです。
確かに、今回のセミナーは、「発達障害」について、ある程度わかっている人は、とても勉強になったと思います。ただ、まぁ、そんなもんでしょうけど、まったく知識のない人には、何のこっちゃわからなかったかもしれませんねぇ。
でもねぇ。この場=セミナーに来るんだから、何某かの関係者だったと思うんですけどねぇ。「復命書」って言ってたくらいだから…。
「想い」…根気強く、ねばり強く、頑張ります(妻がぁ?)。

投稿: たけpon | 2008年4月 2日 (水) 00時05分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 伝わる | トップページ | キバ »