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2010年9月18日 (土)

「愛情」という言葉で片づけないで

月1回参加している勉強会で、少し気持ちが「ざわめく」ことがありました。

この勉強会のことは、何度か blog に書いていると思うけど、いわゆる「親の会」のように、障害を持つ子の親だけが集まっている会ではなく、福祉や保育、教育関係の支援者も集い(…と言うか、支援者が主導で立ち上げたもの)、「発達障害」について共に勉強しようという会です。

その勉強会で、今回、私が気になってしまった発言をされた方がいました。
その方にとって、その言葉はそれほど人の気に障るほどの言葉になるとは思ってなかっただろうし、普通に使用する言葉だと思って使われたのだと思います。

私もいつもならスルー(聞き流し)してたかもしれません。


話の筋を書き出すと長くなるので、要はその方が、

(障害を持つ子供を育てるのに親は…)
「先のことを考えるのではなく、今、その時を“愛情”をもって育てればいいのではないでしょうか。」

…みたいな発言されたことに、私の気持ちはざわめいたのです。
その「愛情をもって…」という言葉に違和感というか、どちらかと言うと…、

「その言葉を使うな~!」
…という、“憤り”に近い気持ちを抱いてしまいました。


それは…、

最近、この勉強会の始まりは、参加者各自の近況報告を含めたフリートークから始まることになっており、その時に…、

あるお母さんが、小学校の高学年になる息子さんのことで、「クラスのお友達と問題がありお友達の親に謝罪に行ったら、『愛情が足りない』などと30分間くらい説教され、その時は子供のためにと耐えたけど、その帰りには脱力して悲しんだ。」という話をされたこと。

また、初めてこの会に参加したという若いお父さんが、今回参加した理由を、「就学前の子供のためでもあるけど、自分もイライラすることがあり、自分のためにも来てみた。」という話をされたこと。

更に、この発言された方は、自分の息子さんが障害を持っているということではあったものの、教育関係者でもあったこと。

そして、今回、私がこの会の進行担当者だったこと。


そのようなことから、つい一言、言ってしまいました。
(…あ~、また言ってしまった。また今晩眠れなくなるよ。…いつも勉強会の夜は自分の発言が人を傷つけてないか、言い過ぎてないかなどと反省して、興奮して眠れなくなります。)


息子さんがお友達と上手くいかなかったと言うお母さんは、よそのお母さんに「愛情が足りない」と罵倒されたんです。

就学前のお子さんをお持ちのお父さんは、子育てをする中で、子供への愛情と、子供への接し方、障害に対する受容、これからの対処・進路等に悩み、自分の気持ちも整理できてない頃だと思います。

ただでさえ、発達障害を持つ子の親は、自分の子供の育て方が悪いのかなど、子への“愛情”を他人からだけでなく、自ら責めている場合が多いというのに…、また、ついさっき、そんな話をされた方がいるというのに、「“愛情”があれば…」などと、よく言えるなぁと配慮の無さに“憤り”を感じてしまいました。


その方も、障害を持つお子さんがいるのでしょう? どんなあふれんばかりの“愛情”で子育てされたんでしょうか?

子を持つ親に、表現の仕方はまちまちでも、子供に“愛情”を持っていない親なんて、ほとんどいないはずです。

それもこの方、一応、教育者でしょ。
まさか、何か問題のあるお子さんをお持ちの親に向かって、「“愛情”が足りないんじゃないですか。」なんて、言ってないでしょうねぇ。

“愛情”があれば、発達障害の子供を上手く育てることができるんでしょうか?

その“愛情”ってどんな“愛情”でしょうか?
「何でもかんでも受容できる」…ような“愛情”でしょうか?

逆に、発達障害を持つ子供を上手く育てられていない親には、子供に対する“愛情”が足りないのでしょうか?

私はそうは思いません。
発達障害を持つ子供を上手く育てるためには、その子の特性(得手・不得手、長所・短所、強み・弱いところ)をよく親が理解し、勉強し、その子に何が必要か支援のしどころをよく考えて、過不足なく、「丁寧な子育て」をしていくことが必要だと思います。そのためには知識と技術が必要なのです。そのために努力することは必要だと思います。決して、“愛情”だけでは育てられないと思います。
この努力を“愛情”だと言うのなら賛成しますが、そうでないのなら賛同しかねます。
だから、簡単に「“愛情”があれば…」などと言って欲しくないのです。

この会に初めて来られた親御さんが、「自分の子供に対する“愛情”が足りないのかなぁ…って悩みました。」
…という発言を耳にすることはよくありますけど、

まさか、親の気持ちをわかっているだろう、そして教育者でもある方から、このような言葉を聞くとは思いませんでした。

「愛情があれば」…、子育てに悩む親にとって、酷な言葉のように思います。

それともう一つ、「先のことはあまり考えずに…」もちょっとムカッときました。
先のことをある程度想定して、もちろん、その子供の成長具合にもよりますが、どのような子供→少年・少女→青年→大人になって欲しいか考えて、今の時期に何を教えるべきか、どんなスキルを修得させるべきか、どんな手を打つべきか考えて支援を実行することは、重要なことだと思います。

そういうことが、特に、発達障害を持つ子供の子育てをする上での、本当の“愛情”ではないのでしょうか?

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コメント

たけponさん
記事がアップされてから遅れてのコメントです。
同じ場にいて、たけponさんがあの場で、ちょっと待った発言をされたこと、ありがたいと思いました。話し合いでよく思うのは、発言の口調の勢いがある人、その人の性格もあるのですが、表に出てしまいすぎると他の人が引いてしまいがちですよね。

今回は、たけponさんの発言で、初めて会に来られたお父さんや、苦しい過去のエピソードを話してくださったお母さんも、ほっとされたと思います。そして、たけponさんの口調は穏やかで会の雰囲気を悪くすることもなく、大人発言でした。

もちろん、意見を戦わすような場もあっていいと思いますが、職場の会議じゃあるまいし、あの会は次もまた行きたいと思ってもらえるような癒しの部分も必要なので、配慮は必要だと思っています。進行役、お疲れさまでした。

投稿: chopper yama | 2010年9月23日 (木) 10時52分

> chopper yama さん

どうも、いらっしゃいませ。コメントありがとうございます。勉強会ではお久しぶりに、お顔を拝見できてうれしかったです。

>ちょっと待った発言をされたこと、ありがたいと思いました。

そう思っていただけたならホッとします。違和感を感じたのは私だけかなぁと心配してましたから…。

あの方も悪気があったわけではないと思います。でも、やはりあの場でのあの言葉には、一言待った発言をしないと気がすみませんでした。

ちょっと blog では書きすぎかもしれませんが、しかし、これは子育てに悩んだ親としての正直な気持ちです。
特に今回、初めて会に来られたお父さん…、せっかく勇気を出して来られたのに、不快な気持ちになって欲しくないなぁと思っていました。

>大人発言…

いえ、いつも私もついつい勢いで言い過ぎているので申し訳なく思っています。感情を抑え相手を傷つけずに、自分の“想い”を伝えるのは難しいですね。

>癒しの部分も必要…

そうですね。立場はいろいろ違うけど、みんなそれぞれの立場で頑張って、悩み苦しんでいるのでしょうから、その想いを吐き出せたりする場であるべき(もちろん保護者も支援者も)…、そんな包容力のある会になるといいですね。それが、現在のこの会の一番の役割のような気がします。

>進行役

…難しいですね。今回、途中で話が盛り上がってしまったので、フリートークの時間がとれませんでした。申し訳ありません。
担当=カギ当番(始まり時間までに必ず来ておく)ということだったんですけど、どうなっていくのでしょうかね。今までは支援者の方に頼りきりだったので、申し訳なく思っていましたが、保護者の方々も進行役までするとなるとひいてしまうような…。最近の主に近況報告のみということであればいいんでしょうが、何かテーマを決めての話し合いとか、講演会なんかについては難しいような気がします(逃げかなぁ?)。
いずれにしても、会を仕切るというのはたいへんなことです。みんなでフォローし合えれば良いなぁと思います。

投稿: たけpon | 2010年9月26日 (日) 14時22分

さっき、なぎさんのところにもコメントしてきました。
久々の記事のupですね!ご無沙汰してます。

最近はあまり勉強会や講演会に行く機会がなくなってしまいました。行きたいなぁとは思いますが,大体一通りは行ってしまって・・・興味を引かれる講演や勉強会があれば無理算段していきたいとは思いますが。

ハンディがある親御さん同士集まって・・というのはありますが、やはり私も違和感を感じる親御さんはたくさんいますよね。

私もムカツくことや、違和感を感じること、そうよね!と共感して思えること、尊敬できること、色々あり、なんでそういう考え方なの?と思って悲しくなることや、憤ることなど、本当にたくさんありました。

どの親もハンディがあるからこそ、苦労して工夫して子育てをして、もうイヤだと思いながら、この場から消えてしまいたいと落ちこみながら・・・でもそれ以上に深い思い入れも出来、頑張っているんでしょうけど、でもその苦労も工夫も落ちこみも喜びも人それぞれ違うし、工夫するところも違う。自閉度の違いや個性の違い、知的の遅れの違い、性別の違いでそれぞれ大変な部分も違うかもしれない。
適当に人任せにして、学校任せにして、という親御さんも少なくなかったです。

価値観が違うものは、いくらこちらが思い入れがあっても、永遠に平行線のまま。

これって、スペシャルの世界だけかもしれないって思っていたけど、そうじゃなかった。

今年、子供会の役員して、いろんな子供達見てて、いろんな親御さんも見てて、そう思いました。モヤモヤすることや、違うんじゃない?って思うこと多々。

自分の価値観が違うものを押しつけられ,受けいれようと努力するのはとてもストレスがいるなぁと思います。

健常児だろうか、スペシャルキッズだろうが、こちらの価値観や育てる指針などが合う、合わないというのは同じくらいのパーセンテージであるのかなぁと思い始めました。

こんな意見もあるんだぁ、人には色々あるんだなぁと思うくらいでちょうどよいのかもしれない。
でも、それをわかる頃には子供は大きく育ってしまってるんでしょうね。

子供が小さく、受け入れるのに精一杯のときに押し付けるような意見を言われたら、ただですらいっぱいいっぱいの親は本当につぶれてしまいますよね・・・。

たけPONさんがそういう意見を言ってあげたこと、本当に素晴らしいと思います。
そうじゃないとどちらも気持ちの持っていきようがないんだもの。

天然、と言われる人って私の周りにもいて、、いくら言っても言っても少しも心の奥底に届かず、あきらめたことがあります。
愛情云々、と言った方はそういう人かもしれないですね。一つの方向からしか物事が見えないのです。教育方面であることがとても残念に思います。


投稿: さりぃ | 2010年9月27日 (月) 21時39分

>さりぃさん

お久しぶりです! ご無沙汰です。

うちも子供会で、近くの公園の草刈りがあるんですが、その時に働く親は働くし、おしゃべりしている親は毎回おしゃべりしている。子供も同じく、刈った草を一生懸命ビニール袋に詰めて、所定の場所まで持って行く子は持って行く、けど、そこら辺を走り回って遊ぶ子は毎回同じ子供…。呆れてしまいます。する気がないなら、目障りだから来なきゃいいのに…。最後の飲み物だけはしっかりもらって行くんですから、なおさらです。

子育てって、絶対こうしなきゃならないって決まりはないから、親御さんの想いが異なるのは仕方ないかなぁ…とは思うけど(うちだったら、こうするな…とかは、ありますけどね)、さりぃさんがおっしゃるとおり、今回の「愛情云々」発言をされた方が、教育関係者っていうのがどうしてもひっかかったし、同じ勉強会の中で、「愛情云々」で辛い気持ちをお持ちの親御さんがいらっしゃったにも関わらず、そういう発言をされたのがどうしてもスルーできなかったです。

でも、相手を傷つけずに自分の想いや考えを伝えるってのは難しいことですね。自分も知らずに他人を傷つけてるかもしれないと、反省しながら、発言は気を付けてしようと思ったところです。

投稿: たけpon | 2010年9月30日 (木) 20時05分

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